Sakamoto Music for Films

Upcomming Release 2025-2026

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  • 【数量限定盤】天命の城(南漢山城/The Fortress)オリジナル・サウンドトラック(2Vinyl)
    天命の城(南漢山城/The Fortress)オリジナル・サウンドトラック
    2025年9月24日発売
    アナログ盤(アンコールプレス)重量盤・黒 2枚組:RZJM-67278~9|¥7,700(税込)
    CD:RZCM-67280|¥3,410(税込)
    ファン・ドンヒョク監督による2017年公開の作品で、坂本にとってこれが初めての韓国映画への参加となった。餓えと寒さに苛まれながらの籠城という極限状況をオールロケで撮影した映像のリアリティは凄まじいが、そこに坂本はさまざまなサウンドを加えることで、この映画を単なる歴史物を超えた別次元のものへと昇華させている。「Vacant Throne」での超低域と物音、「The Fortress Title」でのアナログシンセの和音と低いベース、「Dispute」での深いリバーブがかけられたピアノ内部奏法、「Yong’s Threat」でのモジュラーシンセによるノイズ⋯⋯それらは晩年のソロアルバム『async』に通じるサウンドであり、映画のサウンドトラックであることを忘れ聴き入ってしまうほどだ。もちろん、メインテーマである「King’s March Strings Version」での空気を包み込むような優美なストリングスは坂本の真骨頂であり、戦闘シーンで流れる曲ではストラヴィンスキーをほうふつさせるオーケストレーションとリズムを展開するなど、伝統的な映画音楽の要素も巧みに組み込まれている。「King’s March」はストリングスバージョンのほかさまざまな変奏が行われるが、なかでも「King’s March Spinet Version」の美しさは格別だ。チェンバロと同族の古楽器であるスピネットは繊細な音を奏でるが、音量が持続せずすぐに消えていくのが特徴。そのスピネットをゆったりとしたテンポで、それこそ拍や節にとらわれることなく弾くことで、音の消え際から次の音が立ち現れるまでの間が生じ、引き伸ばされた時間と深淵な空間とを表現しているのだ。そんな小音量の世界からオーケストラやシンセを使った大音量、さらには超低域から超高域まで、シーンごとに音量的にも周波数的にもレンジの広いサウンドが繰り出される本作は、『レヴェナント:蘇えりし者』のサウンドトラックや『async』を経ての、坂本の集大成のひとつと言えるだろう。
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  • SILK(CD)
    オリジナル・サウンドトラックSILK
    2025年10月29日発売
    アナログ盤(初アナログ化) 重量盤・黒 2枚組:RZJM-67281~2|¥7,700(税込)
    フランソワ・ジラール監督による2007年公開の映画。ヨーロッパをはじめ、エジプト、ロシア、そして日本などさまざまな地域が舞台となり、旅行記のように描かれる各地の光景を坂本はクラシカルなテイストの音楽で彩っていく。「First Trip to Japan」ではシベリアの雪原を越え日本へと至る行程を、まずはストリングスによる哀愁を帯びたメロディ、そしてホーンセクションとシンバルによる壮大な音響で綴り、最後に石笛によるメロディでエキゾチックな世界へと導いていく。石笛は龍笛を思わせる音色だが、程良い倍音成分がオーケストラ・サウンドにマッチしている。主人公が日本に到着し、たどりついた雪深い村のシーンで流れるピアノ曲「Snowy Village」は残響がとても長く、その余韻が空気の密度と冷たさを感じさせてくれる。本作で随所に使われているピアノは、カナダにあるグレン・グールド・スタジオで録音されたものだというが、どことなく寂寥感のあるサウンドはグールドの魂を引き継いだものなのかもしれない。主人公が村で心引かれる女性に会うシーンで流れる「The Girl」は、ゆったりとしたアルペジオで弾かれるピアノに、バイオリンがかすれるような音で絡んでいくさまが美しい。かすれ具合とピッチの揺れが、西洋とは違った東洋の美を感じさせ、絹の着物を纏った女性の美しさを際立たせているのだ。都合3回、日本へ旅することになる主人公だが、坂本は往路、復路それぞれにテーマ曲を作り、2回目の旅、3回目の旅のときは状況の変化に呼応した変奏にすることで、映画全体のリズムと時の流れを演出している。他にもピチカートを生かした「Mill Theme」や「Building the Garden」といった小品など、全体にクラシックマナーに即した音楽が多いが、「Revolution」では一転して不穏なサウンドを展開。サウンドトラックにおける坂本の引き出しの多さを十二分に体験できる作品である。
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  • The Revenant(蘇えりし者)(2Vinyl)
    オリジナル・サウンドトラックThe Revenant(蘇えりし者)
    2025年11月26日発売
    アナログ盤(アンコールプレス) 重量盤・黒 2枚組:RZJM-67283~4|¥7,700(税込)
    アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督による2016年公開の映画で、アカデミー監督賞、主演男優賞を獲得した名作。坂本は2014年に罹患した中咽頭癌の回復期という、体調的には万全でなかった時期にもかかわらず、当代一の監督からの依頼ということもあり制作を引き受ける。而して出来上がったサウンドトラックは、映画音楽史上燦然と輝くものとなった。舞台となったアメリカ北西部の極寒地帯の空気を音で現すため、坂本はフレーズとフレーズの間隔がものすごく空いた、拍節構造がほとんど感じられないコンポジションを行い、息の流れのような音楽を作り上げる。ストリングスにより発せられた和音。その余韻が消え、沈黙としか思えない空白が続く中、またふわりと和音が立ち現れる。短いビートで繰り返されるリズムとは全く異なる、大自然、いや地球単位でのリズムが音として表現されているのだ。そのような構造のサウンドをコンピューターや電子楽器ではなく、あえて生のオーケストラに演奏させているところも本作の凄いところ。譜面でしかコミュニケーションがとれない奏者たちに拍節構造の無い音楽を演奏してもらうため、坂本は小節ごとに拍子が変わるという奇態な楽譜を書き、自身が思い描いていた“間”を得ることに成功する。もちろん、すべてが生のオーケストラというわけではなく、電子音も巧みに組み込まれているほか、チェロやエレキギターなど、これまであまり使ってこなかった楽器を自らが弾いている点にも注目したい。万全ではなかった体調のため、制作終盤でアルヴァ・ノト、ブライス・デスナーの助力を仰ぐことになり、その結果アカデミー作曲賞の審査対象外となってしまったが、オペラ的なライトモチーフ、シンセによる効果音といった、従来の映画音楽とは異なる、アトモスフェリックとでも言うべきサウンドトラックを構築した功績は、後世まで長く語り継がれることになるだろう。
    日本盤のみボーナストラックとして 「The Revenant - Main Theme (Alva Noto Remodel R)」を収録。
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  • Original Sound Track 一命 Harakiri - death of a samurai(CD)
    Original Sound Track一命Harakiri - death of a samurai
    2026年3月11日発売
    アナログ盤(初アナログ化)重量盤・黒 2枚組:RZJM-67343~4|¥7,700(税込)
    1962年に仲代達矢主演の『切腹』として映画化された滝口康彦の小説『異聞浪人記』を、三池崇史監督がリメイクした2011年公開の時代劇映画で、海外向けのタイトルは『Harakiri: death of a samurai』。困窮した生活と武士としての面目との矛盾・葛藤が、哀愁を帯びたメインテーマのメロディで見事に描き出されている。メインテーマはストリングスやピアノ、オーボエなどさまざまな楽器によって奏でられ、シーンごとそれぞれに違う影を落としていく。変奏によって楽曲にさまざまな側面が与えられていくという、映画音楽ならではの楽しみを存分に味わうことができる作品だ。メインテーマ以外の曲では、切腹シーンで流れる「Harakiri 切腹」でのロングトーンのストリングスの緊張感、続いて流れる「No Way Out 逃げられない」でのバイオリンの高域の絶望感など、シーンに緊迫感をもたらす楽曲が多い。そこにピアノの音が弱音で、時折内部奏法も交えながら、不協和音すれすれの音塊として投げ込まれていくさまは、アレンジというよりサウンドデザイン的な妙を感じる。時代劇ということもあり、幾つかの曲で和楽器もフィーチャーされている点も本作の特徴だ。「God of Death 死神」で聴ける太鼓は亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎の三兄弟による三響會によるもので、効果音のようにも、そして4つ打ちキックのようにも聴こえるなど、雰囲気作りに一役買っている。また「Losing 喪失」での東野珠実による笙の響きも印象的だ。一方で村治佳織のアコースティックギターをフィーチャーした曲もあり、倍音の整った美しい音色が和楽器と良い対比を成している。多種多様の響きが散りばめられるアルバムの中、白眉は「In the Courtyard 中庭にて」だ。アンビエントテイストのシンセが背景を構築する中、シンセか生か判別のつかないパーカッション、尺八を想起させる息漏れの多いフルートなど、ノイズ成分の多い音で描かれる空間は素晴らしい。重苦しい話を煽りすぎることなく、端正に寄り添う音楽で彩った本作は、まさに手練れの仕業である。
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